
敏感肌になる原因はいろいろとありますが、特に多いのが間違った洗顔とクレンジングが原因で自ら敏感肌を招いているというケース。20代の若い女性の敏感肌はだいたいこれが原因です。
肌表面にある角質層は非常に薄く、その厚さは0.02㎜程しかありません。
肌にセロハンテープを貼り付けてはがすと、接着面が白く濁ります。これが角質細胞です。この作業を繰り返すと角質層(バリア機能)を破壊できます。
物理的な力が継続して働くと角質層(バリア機能)は壊れてしまうということなんですね。
この0.02㎜程の角質層が空気中に漂う雑菌やウイルス、化学物質などの外部刺激から肌を守り、同時に肌内部からの水分蒸散を防ぐというバリアの役割を果たしてくれています。
しかし、洗顔とクレンジングは配合されている洗浄成分の界面活性作用の強さによっては角質層から皮脂やセラミドを洗い落としてしまったり、肌を擦るといった物理的な摩擦で角質層を削って薄くしてしまうことがあるんです。
間違いだらけの洗顔&クレンジングのやり方
「洗いすぎ」「こすりすぎ」「時間のかけすぎ」が洗顔やクレンジングを行う際に、気をつけなければならない3つのポイントになります。以下のようなことをやっていませんか!?
1、洗顔料の泡立てが不足している
手や指が顔の肌に直接触れてしまうのはNGなので、泡のクッションをしっかり作る必要があります。皮脂汚れ等は、泡で汚れを浮かせて落とすものであって、肌を擦って落とすものではないということを覚えておきましょう。
2、クレンジングの使用量が少ない
こちらも洗顔料の使い方と同様で使用量が少ないと、指や手で擦ってしまいがちなのでその刺激が肌にとって負担になります。
そもそもクレンジング剤は適量を使わないとメイク汚れを浮かせて洗い落とせないため、汚れ落ちの悪さから肌を擦ってしまいがちです。
3、メイクの濃さにあわせてクレンジングを使い分けていない
メイクの濃さに応じてクレンジングを使い分けるのは、肌への余計な刺激を減らすためです。
薄いメイクに洗浄力の強いクレンジングを使う必要はないですし、肌への刺激を気にして洗浄力の弱いクレンジングを使っていると、今度は濃いメイクは落ちないので、肌を擦ってしまう原因になります。
4、ゴシゴシと肌を擦って洗っている
肌を擦る刺激・摩擦は、肌内部に炎症を引き起こすため肌荒れやシミ・シワの原因になりますし、角層のバリア機能を壊してしまう原因になります。汚れをしっかり落とそうとゴシゴシ洗うのはNG。
コットンで拭き取るタイプのクレンジングは、コットンとの摩擦で角質層を削ってしまうので、肌にとっては負担以外の何モノでもありません。タオルで顔を拭くときも顔を擦らないように気をつけましょう。
5、時間をかけすぎている
洗浄目的で配合されている陰イオン界面活性剤には脱脂作用やタンパク質の変性作用が強く、皮膚刺激があるものが多いため、肌に長く留めておくとそれだけ肌には負担になります。
クリームなどに配合されている乳化目的の非イオン界面活性剤は皮膚刺激はほとんどありません。
6、すすぎが不足している
こちらも脱脂作用やタンパク質の変性作用が強い洗浄剤としての陰イオン界面活性剤が肌に長く留まる原因になるので、肌に刺激になってしまいます。
こういった使い方をしていると、肌へ必要以上に刺激を与えてしまいますし、肌への摩擦も強いことから角質層にダメージを与えて、肌のバリア機能を低下させる要因になります。
敏感肌のための界面活性剤の選び方【洗顔料編】
台所用洗剤やシャンプー、石けん、ソープに配合されている洗浄目的の界面活性剤は陰イオン界面活性剤という種類の合成界面活性剤であり、タンパク質の変性作用が強く、皮膚刺激も強い傾向があります。
ただし、陰イオン界面活性剤でも、以下に挙げる洗浄成分(界面活性剤)についてはタンパク質変性作用をほとんど持たないため、敏感肌やアレルギー肌でも安心して使えます。
アミノ酸系洗浄成分
ココイルグルタミン酸TEA / ココイルメチルタウリンNa / ラウロイルグルタミン酸Na
カルボン酸系洗浄成分
ラウレス-5カルボン酸Na / ラウレス-6カルボン酸Na
グルコシド系洗浄成分
ラウリルグルコシド / デシルグルコシド
ベタイン系洗浄成分
ラウラミドプロピルベタイン / コカミドプロピルベタイン
※界面活性剤そのもののアレルギー性(感作性)についてはほぼ否定されています。
界面活性剤にもいろいろな種類があり、そのなかでも皮膚に刺激になるものとならないものがあるということはぜひ覚えておいてください。「合成界面活性剤はすべて肌に悪い!」というイメージは作られたもので事実ではないってことですね。
洗顔料については、石鹸が肌にやさしいイメージがありますが、陰イオン界面活性剤に分類されるように脱脂作用が強く、タンパク質変性作用もあるうえ、アルカリ性という石鹸のみに懸念される刺激材料があるので、肌にやさしいとは決していえません。
敏感肌や肌が弱い人に対しては、前述した肌に優しいアミノ酸系やグルコシド系などの界面活性剤を使った洗顔料がおすすめで、石けんはおすすめできるものではありません。
敏感肌のための界面活性剤の選び方【クレンジング編】
「クレンジングオイル=乾燥する」というイメージを持っている人は多いと思いますが、それはあくまでミネラルオイルが主成分の安価なクレンジングオイルに限った場合の話です。
ミネラルオイルは石油からも植物オイルからも作れることもあり、製造コストが安く、低刺激、それでいて厚化粧でも根こそぎ洗浄できるので、市販のクレンジング剤には多く配合されています。
ただし、脱脂力が非常に強いこともあり、肌に必要なうるおい成分も一緒に洗い流してしまいますから、乾燥肌や敏感肌の人は避けたほうがいいのは確かです。
そこでおすすめなのはちょっと高価になりますが、肌への負担が少ない植物性油脂を主成分にした植物性のクレンジングオイルです。油脂なので洗浄力は充分、人の皮脂に近い不飽和脂肪酸が多いため洗い上がりはしっとりして肌質が柔らかくなるおまけ付きです。
・アルガニアスピノサ核油(アルガンオイル)
・コメヌカ油
・オリーブ油
・アボガド油
・マカデミアナッツ油
・トウモロコシ胚芽油
油脂を使わないクレンジング剤の基本成分は水と界面活性剤です。
主に界面活性剤の作用で落としますが、配合されている界面活性剤は、オイル・リキッド・ジェルなどタイプを問わず「非イオン界面活性剤」なので、洗浄目的で配合される「陰イオン界面活性剤」より皮膚刺激なく、安全性も高いです。
ただし、オイルに比べるとメイクとなじみが悪く洗浄力に劣るため汚れを落とすため時間がかかってしまったり、使用時に肌をこすりがちで、その摩擦で肌に負担をかけてしまうことが多いです。
クレンジングオイルは脱脂力が強くて乾燥肌を促進してしまうと思っていた人も多いと思いますが、だからといってノンオイルの汚れの落ちないクレンジング剤で、ゴシゴシと時間をかけてメイク汚れを落とそうとするのも問題です。
油脂を主成分にした本物のクレンジングオイルで時間をかけずにさっとメイク汚れを落とすのが、敏感肌に最も負担をかけないクレンジング方法だといえます。
洗顔とクレンジング時の「摩擦」と「刺激」をできるだけ抑えること
洗顔とクレンジング、いずれの場合も共通するのは敏感肌にとってのNG項目である「摩擦」と「刺激」をできるだけ抑えるということです。
<敏感肌のための正しい洗顔とクレンジング6か条>
1、脱脂力の少ないマイルドなものを使う【洗顔料】
2、肌と指の間にクッションをつくり、直接は絶対に擦らない
3、力をいれず、やさしくソフトタッチで
4、クレンジングは40秒以内、洗顔は1分以内で終わらせる
5、人肌よりもやや低いぬるま湯ですすぐ(体温より熱いと皮脂が流れ出てしまうから)
6、タオルは水気を吸い取るように使う。絶対に擦らない。
といったことを意識して、毎日の洗顔とクレンジングを行います。
洗い上がりの肌をさわって、ツッパリ感がなくそれでいてキュッとした感じがあったらそれはしっかり洗えている証拠。肌に残るヌルヌルの正体は界面活性剤と汚れなのでクレンジング剤が流し足りないか汚れが残っているかも。
とはいえ、すすぎは10回程度が目安。それ以上は洗いすぎです。
洗顔後はできるだけ早く、3分以内に保湿するのが理想です。肌のバリア機能が低下している敏感肌には肌の保湿成分であるセラミドをしっかり補給することが忘れずに行いましょう。
徹底解説!セラミドが敏感肌ケアに不可欠な理由

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